momomon

個人メモ

2014年9月のブログ記事

  • 先祖返り×幼なじみ ②

    (さっきの音は、稔示(ねんじ)様の仕事部屋からかな。嫌だな、俺、今日あの部屋の掃除当番なのに)俺はふぅっと溜め息を吐くと、近くにあった掃除棚から箒と塵取りを持ち出した。先程俺の目の前を足早に去っていた使用人達の後を追うように、ノロノロと足を進める。こんなに部屋数が必要なのかと思いながら、迷路の様な... 続きをみる

  • 先祖返り×幼なじみ ①

    三百六十度を緑で囲まれた、どこにでもある様な山。車が危なかしくすれ違える程度の道路は通っているものの、何時間経ってもそこを行き来する人間の姿は確認出来ない。それもそのはずで、この山の一帯は、ある一族の所有物であり、外部の者は立ち入りを禁止されていた。そんな、外の世界から切り離されたこの山中にも、探... 続きをみる

  • 記憶喪失ネタ①

    「これをそっちに……」「大丈夫……」………あぁもう、枕元でドタバタ五月蝿いな。安眠を阻害する物音が気になって、まだ寝ていたいと主張する瞼をゆっくりと抉じ開ける。何故か俺のベッドの横に座っていた母親が、これまた何故か俺と視線が合った瞬間に驚いた様な顔をして泣き出してしまった。いきなり何事だと、慌てて... 続きをみる

  • 王子×シンデレラ シンデレラパロディ⑧

       「こんにちは。この靴の持ち主を探しているのですけど」これは、夢でしょうか。うとうとしながら仕事に行く準備をしていた時に来客があって、はいはいどちら様ですかと扉を開けて見れば、あの神々しいオーラを背負った王子様が立っているなんてそんなまさか。王子様の後ろに屈強なボディーガード達がずらりと並んで... 続きをみる

  • 王子×シンデレラ シンデレラパロディ⑦

    「うっ、わ…!!!」俺は思わず、力の限り王子様の体を突飛ばす。その衝撃で、王子様がベンチから地面へと倒れてしまった。俺は、全身から血の気が引いていくのを感じていた。えっ、これって暴行罪…?暴行罪になるの?だって突然キスされたから、だって、正当防衛でしょこれ…!俺は顔を赤くしたり青くしたり、この場合... 続きをみる

  • 王子×シンデレラ シンデレラパロディ⑥

    俺はベンチに座り直し、乱れた髪やドレスを急いで整える。幸いにも、胸に詰めた綿の塊は崩れる事なく形を保っていてくれていたが、カツラの方は鏡が無い事には確認出来ない。今が夜で、辺りにはランプが灯ってはいるが、庭の隅にあるこの場所は薄暗いのが幸いか。王子様の方に背を向け、顔を見られない様に俯く。「あ…あ... 続きをみる

  • 王子×シンデレラ シンデレラパロディ⑤

     熱気の籠るホールを抜け、冷たい外気に頬を撫でられれば、一瞬で体の力が抜けてしまった。俺は庭の隅にちょこんと置かれたガーデンチェアを見つけ、よろよろと倒れ込む。ドレスが汚れるでしょうがと義母と義姉に怒られそうだが知ったこっちゃない。庭は隅から隅まで手入れされていて、名前は分からないがどこからともな... 続きをみる

  • 王子×シンデレラ シンデレラパロディ④

     写真か、パレードなどの時に遠目にしか見たことが無かったせいで一瞬誰だか分からなかったが、彼が俺の様な庶民とは別次元に住む人間なのだということはすぐに分かった。俺はもう会わずに帰るつもりでいたので、気の抜けていたところを突かれ動揺を隠しきれない。「うが…あ…こ、こんにちは…。この度はご招待いただき... 続きをみる

  • 王子×シンデレラ シンデレラパロディ③

      (う…っ、死んでしまいたい…)まさか齢十八にして女物のドレスと靴を身に付ける事になろうとは。化粧は顔に何か貼り付いてるみたいで気持ち悪いし、ウィッグも何だか、頭に他人の毛が乗っている様で落ち着かない。自分勝手な義母義姉に無理矢理送り出された俺は、半ばやけくそで舞踏会へとやって来た。実は郵便配達... 続きをみる

  • 王子×シンデレラ シンデレラパロディ②

    「な、何言ってんだよ!せっかく選ばれたのに!」「わたしは運命の人と出逢ったの!あの人に比べたら王子なんて牛の糞だわ!」「わああああ!何て事言うんだ!!!」つい最近まで、王子をオトしてやるとヤル気満々だった義姉の態度が180度変わったのには理由がある。実は先日、買い物の途中に馬車に轢かれそうになった... 続きをみる

  • 王子×シンデレラ シンデレラパロディ①

    俺の住んでいる国は、小さいながらも自然に恵まれていて、ご近所トラブルはあっても大きな争い事は滅多に起きない様なとても平和な所だった。都会からすれば、この国の時間はとてもゆっくり流れている様に見えるだろう。そんな毎日毎日をのんびりと過ごしている国民達の間に、衝撃が走ったのは数ヶ月前の事。“当国の第一... 続きをみる

  • 吸血鬼×医者(声のみ)②

    威圧感のある巨体のオヤジと酒臭い厚化粧のババァの夫婦。血液の相性が良いからと、小さい頃からその夫婦のババァの方から血液の提供を受けていたのだが、最初からアイツらは頭がおかしかった。俺がババァから血を吸っている場面に出会そうものなら、オヤジは途端に嫉妬の炎を燃やして、俺の首根っこを掴み床に放り投げた... 続きをみる

  • 吸血鬼×医者(声のみ)①

    俺達吸血鬼は、二十歳になるまで他の生き物の血を定期的に摂取しなければ生きていけない。今では、人間達が金と引き換えに血液を提供してくれるものの、昔は今ほどに人間と吸血鬼の仲は良くなく、吸血鬼達は動物の血を啜って飢えをしのいでいた。しかしそれでは賄いきれず、吸血鬼達が人間を襲った事もあったという。今で... 続きをみる