momomon

個人メモ

王子×シンデレラ シンデレラパロディ⑧

 
 
 
「こんにちは。この靴の持ち主を探しているのですけど」

これは、夢でしょうか。
うとうとしながら仕事に行く準備をしていた時に来客があって、はいはいどちら様ですかと扉を開けて見れば、あの神々しいオーラを背負った王子様が立っているなんてそんなまさか。
王子様の後ろに屈強なボディーガード達がずらりと並んでいて凄まじい威圧感だ。
俺は慌てて顔を伏せ、そんな靴は存じ上げませんと首を横に振った。

「こちらのお嬢様が昨日舞踏会に来ておられたと思うのですけど」
「あっ、は…はい、義姉が、はい。でもこれは絶対100パーセント義姉の靴じゃないです、はい」

何故なら俺の靴だからです。
どうしようどうしよう。
俺の事を探してるんだ。
昨日王子を突飛ばしたりしたから……あぁ、俺、処刑されちゃうんだろうか…。
今にも泣き出しそうになるのを堪え、早くこの場から逃れるべく知らぬ存ぜぬを突き通す。
こんな陽が高い時にこんな間近で顔を見られたらバレてしまうかもしれない。
いやでもあの時はカツラも被っていたし、化粧もべったり塗っていたし、まじまじと見られない限りは、大丈夫だろうか。
もう俺の心臓は今にも破裂しそうだ。

「お義姉様はどちらに?」
「あ…、い、今呼んで参ります…っ」

俺はギクシャクとした足取りで義姉の部屋へと飛び込む。
ノックもせずに入った事に義姉は怒鳴り声を上げたが、今はそれどころじゃないと状況を説明すれば、義姉の顔が一瞬にして強張った。
招待券を他人に譲渡したとなれば、義姉も何かお咎めを受けるかもしれない。義姉もそれが分かっている様で、義姉の顔から血の気が引いて行くのが分かった。